2007年12月04日

ビジョンなき協会の迷走を嘆く

V・プレミアリーグ女子、2009/10シーズンから8チーム制へ

開幕まで1週間を切った昨日、Vリーグの公式サイトにて上記の発表がありました。来シーズンからですが、トップリーグたるV・プレミアリーグのチーム数を、現行の10チームから2チーム減らし、8チームとするそうです。理由はリンク先にてお読み下さい。

で、この理由に納得がいった方はいるでしょうか?

>> 上位下位のチーム力の差が縮まり、一層の緊迫した試合展開が期待できる。

下を切れば差が縮まることは確かでしょう。でもこの差が生まれた理由はなんでしょうか? いかにして差を埋め、全体の戦力均衡を図る方向に話が進まないんでしょうか。そこを突き詰めて考えた上での結果とは思えません。最も安易な方法を取ったに過ぎない。

>> いずれのチームもファイナルラウンド進出の可能性と入替戦出場の可能性…

「最近の男子大会がそうであるように」という枕詞がついてますが、大卒がほとんどで、自らの意思でチームを選択できる男子と違い、高卒の割合が多く「ライン」に縛られる女子の場合、戦力の均衡を図るには、まずこの旧弊を打破しないといけない。それをやらないと、入替戦は「お約束」のチームばかり出ることになる。それでは何も変わらない。

>> 8チーム制移行により、リーグ戦の組合せの自由度が増し開催地の選定の幅が広がり、その結果ホームゲームの充実が図れるとともに、 開催希望の多い地方での開催も可能になる。

…どなたか日本語に堪能な方、私にわかるように説明していただけませんか。チーム数を減らすことが、なぜそういう解釈になるのか、私には全く理解できません。

プロ野球でも数年前にチーム数削減騒動がありました。しかし選手会のストや、それに対するファンの圧倒的な支持、例のあの人の「たかが選手」発言など逆風が吹き荒れ、結局2リーグ12チーム体制が維持されました。それに引き換えバレーは…。決定事項として発表され、以上おしまいですよ。何か悲しくなってきます。

額面通りに受け取れるはずはなく、おそらくどこかのチームの廃部を見込んだ決定だと思われます。それがどこかはわかりません。廃部が邪推ならば、8チームに減らすことで、1日2試合×2会場で収まることが最大の理由でしょう。今は1日3試合のところがあったり、2試合・2試合・1試合の3会場だったりしますので…。運営費用面でのメリットを考えた削減というのは、十分考えられます。

しかしそれ以前に、リーグの縮小が一時的、且つ部分的な改善にはなっても、長い目で見たときにバレー界全体にとってプラスになるとは到底思えません。私などは「男子はいつ10チームになるんだろう?」と思っていたので、今回の決定に失望を禁じえません。

バレーではなく野球についての記述ですが、二宮清純氏の著書から「拡大か縮小か」を取り上げた部分を抜粋します。少し長くなりますが、非常に重要な意味があると思うので、ぜひ読んでみて下さい。
_________________________

 '50年代までナショナルリーグ、アメリカンリーグとも8球団で行われていたが、
 マーケット拡大を求めてエクスパンション、すなわち球団拡張を繰り返してきた。

 エクスパンションによる球団の増加は、それまで野球に縁のなかった地域に
 マーケットを広げるという経営戦略に導かれたものであると同時に、
 その地域に「ナショナル・パスタイム」たるベースボールを娯楽として提供する
 という意味を併せ持っているのだ。

 日本のプロ野球は、巨人・渡辺オーナーにしろ、阪神・久万オーナーにしろ、
 口を開けば「1リーグ8球団制がベスト」という言葉が出てくる。野球界全体を
 育てようとはせず、既得権を守ることしか考えてないのだ。

 自らのマーケットを狭くする日本の球団経営と、その広がりを優先する
 メジャーの球団経営、どちらが勝者かはっきりしている。
_________________________

2001年と2004年に発刊された2冊の著書から抜粋してますので、必ずしもプロ野球の現状と一致してないことはご了承下さい。

赤字にした部分は私の意図によります。おわかりいただけるでしょうか。協会はVリーグの可能性を狭めようとしています。チーム数削減は、私には「木を見て森を見ず」の方策としか思えません。それは同時に、これまで以上に全日本への傾斜を強めようとしているようにも見えます。「富士山方式」へのこだわりを捨てられないのでしょうか。

国際大会の粗製濫造は、むしろバレーへの注目度を下げており、それは視聴率や観客動員にも明確に現れています。マスコミ主導の下衆な演出はコアなバレーファンや、年配のお客さんを遠ざけています。その上にVリーグの縮小を図るというのは、協会はいったいどこを見ているのでしょうか。少なくともその視野に、バレーファンの存在が映っているとは思えません。

バレーボールというスポーツの可能性を最も信じていないのは、長期的なビジョンを持たず、場当たり的な方策しか打てない協会の人たちなんじゃないでしょうか。迷走どころか逆走です。負のスパイラルにはまり込みそうな、そんな危機感さえ抱いてしまいます。


<参考書籍>
二宮清純 『勝者の思考法』 『勝者の組織改革』 共にPHP新書
posted by 千酔亭 at 23:17| Comment(4) | TrackBack(0) |  → Vリーグ関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
バレーに限らず、スポーツはなんでも「裾野を広げる」ことが「頂上」の強さにつながるわけで…。
「富士山方式」、びっくりしました…。
脳のどの部分を使ったらこんなトンチキな発想が生まれるのか…謎だ(-"-;)。

私の地元にはソフトバンクホークス(この名前にはいまだに慣れないけど)がありますから、千酔亭さんのおっしゃっていた日ハムの盛り上がりのお話、よくわかります。
「うちの地元のチーム」が頑張っている、となれば、弱くても応援したくなるのが人情ってもんで、Vリーグ男子の大分三好ヴァイセ アドラーを追ったドキュメンタリーを見た時は、わたくし、感動して号泣してしまいましたよ。

チーム数削減が将来のバレー界にとってプラスになることは、まず100%ないですよね。
理由を説明する文章が意味不明なのは、要するに「意味自体がない」からでは…(笑)。
いっそのこと「経費削減のため、チーム数も削減せざるをえない」とでも言ったほうがまだマシでしたね。

バレーボール協会って平均年齢高そうですが、お偉方の名誉老人の方々、ひょっとして痴呆が進んでたりなんかして…。
Posted by madoka at 2007年12月05日 17:41
裾野(底辺)を拡大すること=いい素材が集まりやすい環境を作ることは、頂点を高くするために絶対に必要なことです。ただでさえ大きな大会でのメダル獲得など望み得ないのに、富士山の爆発を待ち続ける愚かな人たちが、この国の協会内にはたくさんいるようです。しかも爆発させるための方法論は、マスコミと連動した「上げ底戦術」。つっついたら壊れる砂上の楼閣です。

社会主義国みたいに国が主導的立場を取れるわけじゃないんだから、地域に密着した地道な普及しか方法はないんですよね。チーム数の削減は墓穴を掘っているようにしか見えません。だいたい10チームに増やしたときの理由は、競技力向上のためじゃなかったのか?

削減理由の文章はごまかしの意図が見え見えで、小賢しい役人の姿が透けて見えます。正直に書いてくれた方が、あきらめはつきやすいですね…。
Posted by 千酔亭 at 2007年12月05日 23:15


こんにちは。

一言、「これ以上日本のバレー界を縮小させてどうする!」と言いたいですね。
無念です。
国際大会の増産や先日の天皇杯といい、バレー界の指針はどこへむいているのか解らないですよね。

記事を書きましたので、TBさせていただきますね。

Posted by 古都の侍 at 2008年01月14日 22:53
>古都の侍 殿
あ、どうも。いつも拝見しております。TBもう送られましたか? 私のところは承認制にはしておりませんので、送ると即反映されるはずなんですが…。

チーム数を減らすことで良い方向に進むというVリーグ機構=協会の言質は、極めて短期的かつ限定的な部分では、そうなるかも知れませんが、長期的なビジョンを持っているなら、そんなこと絶対に言えないはずなんです。今回の決定は、目の前のことしか見えていない協会のビジョンのなさを、改めて浮き彫りにしたのではないでしょうか。彼らの視界にあるのはテレビ局とスポンサー企業のみ。ファンは背中側にいます。それが現実です。何とかしたいと切実に思っています。
Posted by 千酔亭 at 2008年01月15日 20:43
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