2007年05月11日

バレー界のジャーナリズム

今バレーボールの専門誌は1つしかありません。その内容は協会の機関誌かと思うほど無難なことしか書いておらず、残念ながら非常につまらないものです。テレビでも新聞でもバレーの扱いは実に小さく、Vリーグに至っては掲載場所を探すのも一苦労です。

さすがに全日本は大きく取り上げられるものの、放送するテレビ局は盛り上げて視聴率を稼ぐため、ネガティブなことを決して言いません。世界との差を論じたり、采配に疑問を呈すより、数字上の「メダルの可能性」の方が大切であり、さらに「浪花節的な要素」も重要なようです。新聞もまた、その系列紙(フジテレビなら産経新聞、サンケイスポーツ)以外では、結果を淡々と伝えられるのみです。

問題はバレーボールに「ジャーナリズム」が存在し得ないことでしょう。要するに野球やサッカーにあるような「厳しい目」が、バレーにはない。中継の所々で、奥歯にものの挟まったような言い方をする中田久美や杉山明美の解説を、皆様何度も耳にしているはずです。2人とも本音の部分はなかなか言えないんでしょう。


昨年の世界バレー前に出版されたNUMBERの増刊号は、こういうのを定期的に出してくれないかな〜と思うような、読み応えある内容でした。中でも興味深い記事を書いていたのが中西美雁という方で、この本では「リベロという仕事」「データバレーとは何か」という2本の力作が掲載されています。

バレー報道にはびこるタイコ持ち的な記事ではなく、浪花節的な感傷もありません。2つの記事内容は何気に連動しています。現代バレーにおけるデータの重要性、アナリストの視点、選手側の捕らえ方。実に面白いレポートでした。

その彼女(女性なんです)が、自身のブログでこう書いていました。

  『自分はそういう「メディアの文法」的な無難な文章じゃない、
  掘り下げたもの、対象となる選手やチームに、ある意味戦いを
  挑むようなものが書きたい』

  『通り一遍のきれい事でない、掘り下げるようなドキュメンタリー
  って選手やチームだけじゃなくて読者にもそっぽを向かれる覚悟と
  エネルギーはいるし、、、、現況、発表する場がないんですよ、
  ぶっちゃけ』

ごめんなさい、無断転載です。でも何としても紹介したかったので…。ぜひリンクから全文を読んでください。お願いします。

バレーファンは、特にテレビから入ってきて、全日本の選手を中心に見ている人は、批判を受け入れることができないようです。以前私が菅山と高橋を批判する内容を載せた時、かなり感情的な書き込みがありました。「頑張っているのに、何でそんなことを書くのか?」という感じの内容で、批判すること自体が信じられない様子でした。

私にとって、批判は期待の裏返しです。期待しているから、お粗末なプレーは批判します。「もっとできるだろう」と思うからこそ、厳しい注文だってつけます。

でもバレーに関わりながらマスコミで生きる人に、それを発表する場は、中西さんが書いている通り、ないに等しい状況です。先に抜粋した文の中にある『選手やチームだけじゃなく読者にもそっぽを向かれる覚悟とエネルギー』。ここがネックになっているのは言うまでもないことでしょう。多くのマスコミは常にスポンサーの方を向いているので、波風を立てることを好みません。

それでもプロとしての長い歴史を持つ野球や、地域密着でマスコミと一定の距離を置くサッカー(Jリーグ)には、厳しい批判を受け入れる土壌があります。

マスコミの(というかテレビ局の)作る「全肯定」的なまやかしには決して乗らず、「批判すべきは批判する」というスタンスを持とうではありませんか。バレー界に今もっとも必要なのは、まさにそれだと思うわけです。内側から変われない世界は、外から変えていくしかありません。


中西さんも発表する場はどっかに見つけると言っています。なければ自分で作るとも言ってます。単行本を出したら結構売れると思いますよ。どこかの出版社さん乗りませんか? 私に限らず、あちこちのブログが宣伝に協力すると思います。数少ない「バレーのジャーナリスト」を応援したい気持ちです。
posted by 千酔亭 at 23:39| Comment(4) | TrackBack(1) | バレーボール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
テレビで流れる国際試合ときのの白々しい盛り上げ方には、あまりバレーを観ない自分でさえウンザリしています。
まじめに競技として捉えている人にとっては侮辱的でさえあると思いますよ。
Posted by なお at 2007年05月12日 18:23
ご無沙汰しています!批判されるのはスポーツ選手に限らずテレビ(公の場)に出る人は仕方無い事だと思いますよ。
実力が無いにも関わらずTV局の過剰な持ち上げによりファンが増えますがその逆も又、しかりです。
菅山の事を例えに出すと人気も出ましたが、逆にアンチも作ったと思います。皆が皆、認められるわけが無いです。世の中そんなに甘くない。しかし、実力が伴っていれば過剰な持ち上げでも批判は起きないと思ってます。頑張るのは当然の事。結局は自分の為に頑張ってるんですからね。
観戦に行くのも雑誌を買うのもテレビを見るのも全てお金がかかるものです。タダで楽しませてくれてるわけではありません。
私達は言わば客。意味合いは若干違いますが、私達の普段の生活から考えてみても、お金を払ってるのに頑張りましたからと言って許されるはずも無いですから。
とにかく、TV局はバカです。世間が忘れかけてる頃に竹下のMVPに、ちまたで批判が起きてるようですがとか言って弁解するような裏事情の再現ビデオを以前、番組で取り上げ美化しようとしてましたからね。返って逆効果。
>内側から変われない世界は、外から変えていくしかない
そうですね、まさにその通り。
その前の記事で「やらせ」を取り上げてらっしゃいましたのでこの場でコメントを・・・。
テレビは、いい加減な物で信じる者がバカだと言われればそれまでですが、やはりやらせ(嘘)をしてもいい物と悪い物があると考えます。
「あるある・・・」などは番組では百歩譲ってよしとしますが、本も売ってるんですから言わば詐欺です。
最近のマジック番組も終いには死んだ人も生き返らせるんじゃないかと思うほど理解不能現象を起こす、度を越えたものになっておりゲストタレント、一般人全てグルになってますが、あれもダメですね。姉の子供がマジシャンになりたいとか夢を持ってましたが、最近は「あれインチキー」とか言って見なくなりましたから。子供に夢を与えるはずが失望させるものになってます。
久しぶりで長文になりました。失礼しました。
Posted by れん at 2007年05月12日 22:23
>なおさん
あまりにも「演出」が目立ちすぎるんですよね。悪いとは言いませんけど、
必要がありません。野球やサッカーであんなことやったら、大ブーイング
なんでしょうけどね〜。


>れんさん
ご無沙汰でございました。批判があるのは当たり前と考えられる人が
少ないんですよね。浪花節的感情論が先走って、批判を許さない空気が
あります。全日本の試合会場でヤジなんか飛ばした日には、袋叩きに
あうんじゃないでしょうか。

「頑張っているんだから」なんていう理由にならない理由で擁護するより、
厳しい叱咤をした上で激励するのがファン(若しくはサポーター)って
もんじゃないかと思います。そう思える人が増えて欲しいですね。

竹下MVPの再現VTR見ましたよ。あれが示したのは要するに、MVPは
アコスタの一存で決まったと言うこと。記者投票なんか関係なかった。
「世界選手権という大会の」MVPを決めるのに、「背の小さい選手に
夢を与えた」なんていうお門違いな理由をつけていて、唖然として
しまいました。優勝、若しくは準優勝に最も貢献した選手と明文化
した方がいいんじゃないでしょうか。


「あるある」の一件は、やらせというより完全に捏造ですよね。
火のないところにドライアイスで煙を立てて、「火事だ〜」って
やっていたわけで…。あれは犯罪です。

視聴者が刺激に慣れてしまっていて、より強い刺激を作り出そうと
しているのが今のテレビだと思います。バラエティもスポーツも
ニュースでさえもそうでしょう。悪い方向に進んでるなと感じます。
Posted by 千酔亭 at 2007年05月13日 16:22
はじめまして、トラックバックありがとうございました^^。
こちらからもさせて頂きましたが、よろしかったでしょうか?

あと、ちょっと記事違いですが、
有田選手の辞退、今初めて知りました!
いい選手なのにとても残念ですね・・
わたしも吉沢選手欲しかったなーと思いました。
Posted by コマユ at 2007年05月14日 00:21
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私はとてもすき。
Excerpt: またしても美雁さんのブログに反応。 ”「メディアの文法」的な無難な文章じゃない、掘り下げたもの、 対象となる選手やチームに、ある意味戦いを挑むようなものが書きたい。” すばらしい!(王様..
Weblog: つぶやきバレー
Tracked: 2007-05-14 00:11
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