2006年10月17日

バレーボールとマスコミの難しい関係

地上波でバレーボールを見ている人は誰でも思うことでしょうが、
バレー中継にはまるで「セット」のように芸能人応援団がついてきます。
フジテレビならジャニーズ。あと2週間あまりに迫った世界バレーには
WaTとハロープロジェクト。彼らのファンの方々には非常に申し訳ないが、
純粋なバレーファンにとっては、ただひたすらウザい。

テレビ局(と広告代理店)は、集客を高めて会場の盛り上がりを演出し、
コアなバレーファンではない人たちも中継を見てくれるようにする。
その一方で選手に大袈裟な愛称をつけ、一部の選手はまるでアイドルの
ように扱われる。本人の意思とは無関係に。

全否定する訳ではない。それに釣られてバレーを見始めた人の一部は
確実にファンとして定着し、Vリーグの会場にも足を運んでいるのだから。
マスコミの「煽動」による最大の害は、オリンピック以外の大きな大会で
あまりに日本有利の状況を作り出してしまうことだ。

バレー界における日本の発言力は非常に強い。それが莫大な放映権料と
図抜けた集客力によることは、火を見るより明らかだろう。世界バレーは
女子のみだが、4年後の次開催も日本である。ワールドカップは恒久開催。
ワールドグランプリも毎年必ず開催地の1つになっている。


以下は全て女子に関することだが、世界バレーの予選リーグでプールAに
入っている日本は、本当に笑ってしまうほど組み合わせに恵まれている。
毎度おなじみ「永遠のライバル」韓国と、「欧州の女王」ポーランドがいて、
あとは完全な格下。ポンポンポンと3連勝して、その2つを大いに盛り上げ
ようという意図が見え見えだ。

最もキツい「死の組」プールBに日本が入ったら、予選突破さえ怪しい。
中国、ロシアにはまず勝てない。ワールドグランプリでは辛うじて勝った
ドミニカ、6月のモントルーで敗れているドイツ、大エース ママドワを
擁するアゼルバイジャンという恐ろしい組合わせ。どの国もプールAなら
楽々予選突破だ。

以前にも書いたことがあるが、ワールドカップでも日本は開催国特権で
開幕の3試合を選ぶことができる。そこを一気に連勝させ、フジテレビは
派手なアドバルーンを打ち上げる。ニューヒロインを作り出し、メダルだ
何だと大騒ぎする。実際に取れるかどうかではなく、そういう雰囲気を
作り出すことが大事。全ては視聴率のためだ。

日本がそういった大会で好成績をあげても、ホームゆえの有利さを否定
することはできない。時差ボケや食事に悩まされることもなく、会場は
応援ムード一色。試合時間はテレビ中継の関係で常に一定。線審の判定に
思わず首を傾げたくなることもある。


しかし、そういう演出が全く利かない大会が1つだけある。オリンピックだ。

アテネでの日本の戦いぶりについて、今さら振り返るまでもあるまい。
雰囲気に飲まれ、地に足がつかず、連勝中だった韓国にまでストレートで
敗れる始末。辛うじて決勝トーナメントに進出したものの、相手は中国。
大山加奈の爆発で試合は面白くなったものの、結局は0-3で終戦。


柳本監督は北京五輪でも竹下−高橋を軸に据えていくらしい。アテネ後に
唱えていた大型化はどこへやら。「伝統的日本バレー」で勝負を挑むようだ。
今年のキャッチフレーズは「-2(アンダー・ツー)」。個々人がミスを2つ
減らし、ここ最近続いている5位という結果から-2で3位を目指すという。

ひどい負け方でも収穫はあったといい、殊更に予定通り、シナリオ通りで
あると強調する。2セッターを試すと言いながら試合ではほとんど使わず、
交代は常に後手後手で、タイムアウトを取っても言うことはいつも同じ。
メダルの予感だとか何だとか、聞いてあきれる。

マスコミを上手く利用することには長けている監督だ。先を見据えた強化、
辛抱よりも、目の前の結果を最重要視する。それこそまさに、マスコミとの
利害の一致だろう。

大会を盛り上げ、視聴率を稼ごうとするには、ある程度の結果が欠かせない。
いくら高さと優れた素質をもった選手を集めても、試合に負けてばかりじゃ
盛り上げようがない。コアなバレーファン以外はテレビ中継を見てくれない。
マスコミにとって大事なことは目先の視聴率であって、将来の結果ではない。

柳本監督の選手起用はそれに迎合した結果だろう。いや、もちろん監督だけを
責めるのは酷だとわかっている。JVAの旧態依然の体質こそが最大のガンだ。
全日本が選手にとって「あこがれの場」ではなくなり、ただシンドイだけの
ところに成り下がっているように思える。Vのチームは選手を出したがらず、
選手からも辞退が相次ぐ。これは一体どうしたことか。


この悪循環から抜け出すにはどうしたら良いのか、正直自分にはわからない。
現在の状況に、本当に本当に強い危機感をもっている人が、JVA関係者の
中にいることを願うしかないだろう。国内でいくら「上げ底」の結果を出しても、
最も重視するオリンピックに繋がらなければ、意味なんか何もないのだ。

マスコミが喜ぶ結果と、真のバレーファンが今願っていることは反比例に近い。
サッカーで監督解任論が起こるように、バレーファンももっと厳しい視点を持とう。
でないと日本は北京五輪で同じことを繰り返す。もしかするとロンドンでも…。


※ 今回の記事はこちらのサイトに触発されて書きました。


posted by 千酔亭 at 21:24| Comment(7) | TrackBack(0) | バレーボール | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは♪
千酔亭さんの考え、私もそう思います
今の全日本女子バレーチームは、かなしいですが、とても世界に立ち向かうことはできないと思います
それはWGP、特に決勝ラウンドが物語っています
多分、世界バレーでも予選は突破するにしても、決勝ラウンドはどこまですすむことができるか。。
自国開催という、アドバンテージを決勝でもうまく利用することができるか。。
今の全日本ではかなり難しいと思います
アテネの経験から、北京は他国よりも2倍、3倍のスピードでチームつくりをしなければならないのに、半分のスピードしかでていない。。もう2年ないのですよ。。
怪我人が出たのは、想定外だったと思うが、あまりにも目先にとらわれすぎです。自転車操業もいいところです
JVA、監督が、本来の目標を見失っているのではないでしょうか?
今のWGP、世界バレーのようなマスコミ連動型の大会だと、北京行きさえも。。と思うのは私だけでしょうか?
バレーは強くなれば、自然と人気がでてきます。。だから、本当、強くなってほしい。。
Posted by kerri at 2006年10月18日 00:33
こんにちわ。
リンクありがとうございます。記事にリンクされていてびっくりしちゃいました。ありがとうございます。

バレーの大会とメディアの融合は、FIVBで推奨しているという噂を聞いた事があります。あくまで人づてで聞いたので、本当かどうか分かりませんけど、日本はその成功例だとか。FIVBでも、アイドルを使う事は承認しているというより、各国に勧めているようです。

実際、バレーボールは国際的にそんなに人気のスポーツでは無いので、FIVBでも日本の人気に乗っかりたいと思っているのかも?

バレーボールの試合中継は、NHKが一番いいですね。選手の顔のドアップも無いし、無意味な誉め殺し実況アナも居ないですしね。ただ、NHKが中継するのはオリンピックぐらいなんですよね。もっとしてくれないかな?(笑)

柳本監督の監督契約は世界バレーまでのようですね?(間違っていたらゴメンナサイ)今回の選手の怪我続出などで、監督変わらないかな〜?なんてちょっと期待しちゃっています。多分このまま続行でしょうけどね。


どうも長々とスイマセン。これからもどうぞよろしくです。
Posted by いち at 2006年10月18日 01:09
>kerriさん

コメントありがとうございます。

世界バレーで日本が当初の予想を上回る好成績を収めたとして、
果たしてそれを手放しに喜べるかというと、少なくとも自分は
喜べないんですよね。恵まれた条件下の結果が、北京五輪での
結果に直結すると思えないから。

北京を見据えた強化ではなく、目の前の結果に固執する限り、
全日本には希望を持てない。悲しいですよね。

3年前は救世主に見えた柳本監督が、今は貧乏神にしか見えない。
Posted by 千酔亭 at 2006年10月18日 20:32
>いちさん

コメント&記事中リンクありがとうございます。

アクセス解析を見ると、いちさんのところから10人くらい
飛んできています。ありがたいことです(笑)。

バレーの大会とメディアの融合っていうけど、少なくとも
ヨーロッパでは絶対やらないですよね。やるとしたら韓国か
台湾くらいでは? 地上波でバレーを見る限り、アイドルは
常についてくるんでしょうね。Vリーグが始まる前に今度こそ
ケーブルテレビ加入しよう…。

柳本監督の契約が世界バレーまでになっているのは「念のため」
でしょう。万が一予選リーグで敗退したらクビ…ということかも
知れないけど、まあ…あり得ないですね(苦笑)。

イタリアの監督を解任されたボニッタさんを招聘すればいいのに。
強くなるよきっと。

Posted by 千酔亭 at 2006年10月18日 20:44
初めまして!
この記事に大変、共感したのでコメントさせていただきました。
数字をとるためのマスコミのやり方には、いつも腹立たしさを感じております。
それに伴う監督の選手起用等などにも。
そもそもなぜ、菅山なんだぁと思いますね。
WGPでは、あれだけ機能してないのに全ラウンド使い続ける。フジTVにしてもたった一回の弾かれたレシーブをフォローにいっただけの(あんなの拾えて当然と思う)プレイをファインプレイ張りに何度もVTRを流し、韓国のようなしょぼいサーブをカットミスやエースを取られるような際には、
いっさい触れず。見ていて実に不愉快です。
世界選手権でも、きっと、事あるごとに臨機応変に手の怪我の事をもちだすんでしょうね。そもそもアタッカーとしてもリベロにしても全日本に入れるレベルじゃないと思いますね。
監督にしてもよく、大会では5位ばかりと自慢げに言ってますが、アテネの5位は、順位決定戦を行わなかったがゆえの5位タイ。韓国もイタリアもアメリカも5位。去年のグラチャンも韓国に勝っただけの6チーム中の5位。
ツーセッターを豪語しておきながら、いっこうに試さない。タイムアウト中の指示はいつも同じ事ばかり「さ、ここやぞ」「集中、集中」
「もう一回、最初から立て直そうや」などなど。
負ければ、日本の生命線のキャッチが崩されたとコメント。Aキャッチが入れば日本は世界でもトップや。そんなことは誰でも解っている、問題は入らない時を想定して、どう対応するかだろ!!!世界のトップの国々でさえジャンプサーブでお互い崩し、崩されているのにいくら練習を積もうと日本だけがキャッチで崩されない神の技術を得られるわけないだろって常々、思ってます。
また、遊びに来させていただきますのでよろしくです!
Posted by れん at 2006年10月23日 13:48
先ほどコメントしたんですが、入ってますか?
Posted by れん at 2006年10月23日 14:05
れんさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
ちゃんと入ってますよ!

菅山はマスコミにとって格好の素材なんだと思います。
ルックスがいいし、浮き球を追いかけてダイビングレシーブ!
なんてのはたまらない訳ですよ。ボールが飛んだ先には
看板やベンチがあるのに、危険を顧みず飛び込むその執念!
…いかにも素人受けしそうです。

サーブレシーブをソツなくこなす姿なんて、テレビ的には
面白くもなんともない映像です。ルックスがいい選手の、
見た目が派手なプレーというのが、マスコミは何よりも
欲しいわけですよね。その最大の「被害者」がメグカナです。

合宿での「全日本伝統の3人レシーブ」とか、ああいう
選手を疲弊させるだけの、無意味な練習がなくならないのは、
マスコミにとって面白い映像になるから。


JVAの年間総収入の8割近くがテレビ局からの放映権料
なんだそうです。「株主に何も言えない会社の経営陣と、
経営陣の言いなりになるしかない雇われ店長」それが
今のバレー界の縮図です。

もちろん株主=テレビ局、経営陣=JVA、雇われ店長=
柳本監督です。ちなみに株主は、JVAだけでなくFIVBの
「事実上のオーナー」でもあります。総収入の中のかなりの
割合(90%近く?)を出資しています。

ちなみに今日から3日間、日本でFIVBの総会が開かれ、
その間にお台場から伊豆、京都まで観光されるそうです。
世界バレーも日本恒久開催! …なんて笑えない冗談です。


Posted by 千酔亭 at 2006年10月23日 23:06
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