2009年02月14日

来たるべきもの

武富士:女子バレー部の活動終了へ「業界の環境厳しく」と (毎日新聞)

消費者金融大手の武富士(本社・東京)は13日、バレーボール・プレミアリーグ女子に所属する同社バレー部「武富士バンブー」の活動を、5月の黒鷲旗全日本選抜大会を最後に終了すると発表した。同社広報部は「消費者金融業界を取り巻く環境が過去に例を見ないほど厳しくなっているため」としている。

武富士は同日、2648億円の赤字となる今年度の決算見通しを発表。上限金利の引き下げなどを盛り込んだ改正貸金業法が来年施行されるため、消費者金融業界では、利息制限法の上限金利を超えた「過払い利息」の返還のために引当金を積み増しており、大幅な赤字となった。

武富士の女子バレー部は今季、プレミア10チーム中8位。01年に休部したイトーヨーカドー女子バレー部の全選手とスタッフを引き継ぐ形で創部。01〜02年シーズンにVリーグ(現プレミアリーグ)で準優勝した。選手16人とスタッフ9人の今後について、広報部は「チームごとの移籍も含め、受け入れに興味を持ってくれる企業と交渉したい」としている。



来るべき時が来てしまいました。2007年の3月9日、私は「存続への微かな不安」という記事の中で、武富士バンブーがいつ廃部になってもおかしくない状況であることを書きました。武富士の四半期ごとの決算の数字を見るたび悪い予感は募っていき、2009年2月13日に現実のものとなってしまいました。驚きはありません。ただただ残念なだけです。

この間に、私はスポーツビジネスに関する本を読み漁りました。企業が多くのスポーツの受け皿となり、その発展に多大な貢献をしてきたことを認めつつも、弊害もまた小さくないことを知りました。そして今また、その「弊害」によって1つのチームが…いや、一昨日の記事に書いたとおり、たくさんのチームが消えようとしています。企業にとってスポーツチームをもつのは「余力」の部分があってこそ。それがなくなればチームを手放すのは当然のことです。「一企業によるチームの所有」という形態は、景気や社会情勢に左右される要素があまりに大き過ぎます。

武富士は貸金業法等の改正によって、いわゆる「グレーゾーン金利」の問題にさらされ、過払い金返還訴訟が多発する事態になりました。今期の赤字決算も、そのための引当金を大幅に積み増ししたことが理由。いくら考えても武富士の業績が好転する要素はなく、「その時」がいつ訪れるのかを待つばかりでした。

ニュース記事では「チームごとの移籍も含め、受け入れに興味を持ってくれる企業と交渉したい」なんて書いてますが、これはチーム関係者が言った言葉ではないと信じたい。あくまでも武富士本社の広報部の方が言ったこと。イトーヨーカドーに切り捨てられ、武富士も手を引く中、奇跡に近い確率で全体移籍を受け入れる企業が現れたとしても、またいつ休廃部の危機が訪れるかわからない。それでもなお「企業スポーツ」にすがろうというなら、ちょっと頭が悪すぎます。繰り返しますが、一社がチームを所有する時代は終わろうとしているのです。

武富士バンブーは変わろうとしていました。ちょっと遅かったですが、今リーグ前の10月に初めて地元春日部市役所を訪問。11月には「スポーツで埼玉をもっと元気に!!」というイベントに参加し、埼玉県内に本拠を置く他のスポーツチームとの連携も始めたところでした。明日の越谷でのホームゲームでは、同市出身の金子美里から何かプレゼントもあるらしい…。ほんのちょっと前まで、そんな小さな企画すらほとんどなかったのです。「これから面白くなる!」 今回の廃部はそんな矢先に飛び込んできました。

私はクラブチーム化を望んでいます。簡単でないことは百も承知の上です。しかし永田部長の選択肢の中に、この路線が存在することを信じたい。「スポーツで埼玉を〜」のイベントを通して、他のチームから学んだことは少なくないはずです。特にbjリーグの埼玉ブロンコスは、元を正せばアンフィニ東京という企業チーム。クラブ化は並大抵の苦労ではなかったろうと思います。今のバンブーの苦境に、きっと力を貸してくれるはずです。先日取り上げた旧オンワードオークスの奮闘ぶりも、大いに参考になるはずです。

チームが興行権を持たない現行のVリーグのシステムでは、クラブチームの運営は非常に難しいものがあります。私はホーム&アウェー制でプロ化するのがベストの選択肢であると信じて疑いませんが、協会の時代遅れ感覚と、プロ化は避けたい財界系一流企業の存在を考えると、現実には無理でしょう。それこそbjリーグのように、組織を割ってクラブチームによる新リーグを立ち上げるしかない。そこまで行けないなら、地方の協会から興行権を買い取り、入場料収入を得たいところ。集客の多寡が自チームの収入に結びつくようになって初めて、会場の雰囲気作りやファンサービスの重要性に気付くはずです。まあ、ホームゲームが数試合しかない現行のドサ回り形式では、それもたかが知れてるんですがね…。


このチームを5月で終わらせたくありません。チームの名前は変わっても、10年後も20年後も脈々と伝統を受け継いでいくチームになって欲しい。そのためには企業チームではなかなか難しいでしょう。地域に支えられ、地域に必要とされるチームにならなくてはなりません。永田部長はそれをわかっていると信じます。私のような一個人にできることなどたかが知れていますが、些細なことでも何か役に立ちたいと強く思っています。今週末の試合会場で何らかのメッセージが発せられるのかどうかはわかりませんが、今はまず永田部長の言葉を待ちたいと思います。
posted by 千酔亭 at 00:27| Comment(13) | TrackBack(0) |  → 武富士バンブー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
クラブチーム化が一番可能性があるかもしれないけど、協会がそれに向けてサポート体制を作れるかでしょうね。バスケットみたいになっても困るのでしょうが、学校のクラブ活動主体で動いている世界では、実業界の風というかビジネスの感覚はなかなか身につかないでしょうね。
唯一、サッカーが毀誉褒貶はあるにしても転換に成功し、また引継ぎも政治家につながる人を排除してうまくいった例かもしれません。

リーグ戦形式の場合、負担は相当重く、今の時勢、派遣の解約で非難される中、日産自動車ではないですが、実業団を持つことも、非難する団体に漬け込まれる隙を与えることにもなりかねず、この流れは続くのではないかと思います。
Posted by おじさん at 2009年02月14日 00:41
> おじさん
協会に期待しても仕方ありませんが、意思のあるチームが積極的かつ忍耐強く働きかけることが必要でしょう。私はバスケットみたいになってほしいと願ってます。そのくらいじゃないと、超保守的なバレー界は変われないと思います。
Posted by 千酔亭 at 2009年02月14日 01:11
トラックバックありがとうございます。
日付も変わって今日は越谷ですが、なかなか寝付けない夜を過ごしています。
Posted by kaz10000 at 2009年02月14日 01:13
> kazさん
あ、ちゃんと入りましたね。
私もいろいろな考えが頭の中を駆け巡って、
なかなか寝られそうにありません。
Posted by 千酔亭 at 2009年02月14日 01:16
クラブチーム化という選択肢があるのですね。
記事を読ませていただいて少し落ち着きました。
ぜひその道を選んでいただきたいです。
バレー界が変わるきっかけにもなり得る選択。
いや、むしろこれをきっかけによい方へ変わっていってくれればと思います。
Posted by コマユ at 2009年02月14日 01:39
いつも読ませて貰っています。武富士の廃部残念で成りません。公式ブログ、他競技とのイベントなど確かに他のチームと違いファンを獲得しようと改革をしてましたね。その矢先にこんな事がorz クラブチーム化大賛成です。名前が変わってもチーム全体が残ってくれる事を祈るばかりです。でもかなり難しいでしょうね。何とかして欲しいです。失礼しました。
Posted by モグラ放送 at 2009年02月14日 01:42
> コマユさん
多分に私の願望ですし、クラブチーム化も平坦な道ではありません。
シーガルズも大変な思いをしているはずです。でもこれこそが、
チームを長く安定的に発展させていくための、唯一の道だと思います。
大変な苦境ですが、同時に大きなチャンスでもあるはずです。
Posted by 千酔亭 at 2009年02月14日 01:48
何度もすいません。
トラックバック入っていました。
ありがとうございます。
チームが終わってしまわないよう、わたしも全力で応援します。
Posted by コマユ at 2009年02月14日 01:49
> モグラ放送さん
コメントありがとうございます。素敵なHNですね(笑)。

チームの中では、廃部をうすうす予感していたんじゃないでしょうか。だからこそ積極的に色々な手を打っていたのだと思います。クラブチーム化が難しいのはわかっていますが、継続的にチームを維持していくには、複数企業によるサポート(リスクヘッジでもある)が必要です。ぜひこの方向に踏み出して欲しいと思います。他競技ですが、埼玉県には偉大な成功者もいますから。
Posted by 千酔亭 at 2009年02月14日 01:56
はじめて書き込みします

BJリーグの健闘ぶりを見れば
バレーの新リーグも困難ではないです。

女子に人気のあるスポーツなので
集客には問題なし

JVAと距離を置いてるバレー界
最大の勢力【ママさん】を
味方につければ鬼に金棒だね
Posted by ss582 at 2009年02月14日 03:32
おはようございます。

>5月で終わらせる気はない

了解!
私にも出来ることがありましたらお手伝いします。
掲示板なり何なりで教えて下さい。
よろしくお願い致します。
Posted by 吉原さんのファンサイト管理人 at 2009年02月14日 09:58
> ss582さん
私もそう思います。
バスケにできて、バレーにできないはずはありません。
でも協会主導では絶対に無理。bjと同じことをできる人が、
バレー関係者の中にいるでしょうか。

手の施しようがないほどガタガタになってからでは遅いですし、
意思ある人が積極的に訴え、働きかけてもらいたいものです。

ママさん(家庭婦人)バレーは「普及」の重要カテゴリーです。
Vリーグでプレーする選手にも、母がバレーをやっていたから、
その影響で始めたという人が大勢います。でも協会はその重さを
全然わかっていません。トップレベルの「強化」ばかりに
気を取られています。以前に「富士山方式」という記事を書いたので、
機会があったらご一読下さい。協会のアホさ加減がわかります。
Posted by 千酔亭 at 2009年02月14日 10:17
> 吉原さんのファンサイト管理人さん
権利的なものの関係で「バンブー」の名前は使えないかも知れませんが、
永田部長以下全選手・スタッフが来季も同じ陣容で戦えるよう、
自分にできることを模索しています。

だからまずは永田部長の意思を聞きたいところです。
今日の越谷大会で何か話してくれれば良いのですが…。
Posted by 千酔亭 at 2009年02月14日 10:26
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。