2009年02月11日

企業スポーツ

『日産が野球部など休部 経営合理化の一環』(スポニチ)

日産自動車は9日、自動車不況を受けて正社員を含めた国内外のグループの従業員のうち、1割近い2万人を2010年3月末までに削減し、計21万5000人にすると発表。国内では新規採用の抑制などによる正社員4000人を含め計1万2000人を削減する。リストラの一環として、硬式野球部、卓球部、陸上部の3部を休部。都市対抗野球2回、日本選手権1回の優勝の実績のある名門野球部は、1959年創部からの歴史に、ひとまずピリオドを打つ。


『セコム:ラグビー部の強化中止、社員有志での自主的活動に』(毎日新聞)

社会人ラグビーのトップイースト11に所属するセコムは10日、ラグビー部の強化を中止し、社員有志による自主的活動に変更すると発表した。正社員である日本人選手38人やスタッフは会社に残るが、プロ契約している外国人選手5人やコーチとは今季限りで契約を打ち切り、事実上のクラブチームとなる。


アメリカの金融危機に端を発した世界的な不況の波は、否応なく日本にも押し寄せ、企業スポーツの休廃部や縮小が相次ぐ事態になっています。ラグビーは昨年末以来、ワールド、IBMに次いで3チーム目。どれも明確な「廃部」ではなく「強化の縮小」としています。プロ選手とは契約を切り、社員有志による活動として残す。ただし勤務時間や職場の配置で優遇されることはなくなり、遠征費用なども出ない。「廃部」という言葉こそ使っていませんが、事実上同じことです。一部選手の流出は避けられないし、トップリーグはもちろん、それに順ずるレベルでも戦えなくなるのは明白。それぞれに「縮小」の理由は違うとはいえ、同じ競技で3チーム続けて同じ方策を採ったというのが、どうも引っ掛かります。

企業がトップレベルのスポーツから撤退・縮小する例は、私が把握してるだけでも、まだこれだけあります。

西武(アイスホッケー)→廃部
オンワード(アメフト)→廃部
TDK(サッカー・JFL)→廃部
TASAKI(サッカー・なでしこL)→廃部
三菱ふそう川崎(野球)→休部
ホンダ(ハンドボール)→縮小
ホンダ(F-1)→撤退
富士重工業(WRC)→撤退
スズキ(WRC)→撤退
三菱自動車(ダカールラリー)→撤退

地域レベルではもっとあるはずですが、主だったところはこのあたりでしょうか。これらの発表全てが、ほんの数ヶ月以内に起こったという事実に、改めて驚きを禁じ得ません。廃部がまだ何ヶ月も先のことというチームもありますが、最初に取り上げた日産のように、何の連絡や相談もなく、突然決定事項として伝えられた例もあります。選手やコーチなど、関係者の心情を考えると胸が痛みます。

こうなってくると「負の連鎖」も心配になります。苦しいながらもチームを維持してきた企業が、現在の相次ぐ休廃部に乗っかってしまわないか。株主からの突き上げなどもあるかも知れません。逆に上層部は維持するつもりでも、一般社員の支持を得られないことも考えられます。給与どころか雇用そのものが危うい状況で、スポーツ部だけが聖域になるのはあり得ないことです。

救いなのは今回廃部になったチームの中に、クラブとして生き残りをかける動きがいくつかあること。冒頭に取り上げたセコムのような、「事実上そうなってしまう」…という消極的なものではなく、自らチームの存続をかけて動いている強い意思の存在。

元オンワードオークスメンバーによるチーム再建への挑戦ブログ

アメフトXリーグの名門、旧オンワードオークスがクラブチームとして再建を図っています。「社会情勢に左右されない地域とファンと共に歩む真のクラブチーム」、「地域に根ざし地域とファンの方から愛され必要とされるチーム」を目指し、blogを通してその過程を伝え、再建にかける強い気持ちを発信しています。選手だけじゃなくチアリーダーも!

「私はチアリーダーです。ダンサーではありません。応援するチームがなければチアはできません。ただ、チアリーダーがやりたい訳ではありません。このチームのチアリーダーがやりたいんです。このチームでなければ私がチアリーダーをやる意味はありません」
(2008年12月24日 チアリーダー守田亜美さんによる記事)

素晴らしいと思いましたね。多くの選手やスタッフが記事を書いており、関係する人たちの一体感と、必ずまた日本一に返り咲くんだという意思を感じ取ることができます。今年1月8日の記事では、これまで]リーグで鎬を削ってきた他チームの選手やコーチが、自らのblogで今回の再スタートを応援してくれていることも紹介されていました。

株式会社ファクトリージャパンというスポンサーを得て、これまで同様、神奈川県相模原市を本拠地とするものの、オークスの名前は権利の関係上使えないらしく、名目上は全く別のチームとしての再スタート。2部若しくは3部リーグから始めなくてはなりません。最低でも約3000万円かかるという活動費の継続的な確保。来年以降の使用グラウンドが未確定など問題もあるようです。いろいろと難しいとは思いますが、何としても成功して欲しい。私はアメフトのルールも正確には知らず、]リーグはCSでちょっと見たことがある程度なんですが、それでも今回の「災い」が、関係者の努力によって「吉」となることを願ってやみません。同じような事例は今後も出るはずだし、旧オークスには素晴らしい成功例となってほしい。


「企業スポーツに支えてもらった時代が終わりを迎えた気がする」
(日本オリンピック委員会 福田富昭・選手強化本部長)

「できることをやらなければ、次世代の夢も希望もなくなる」
(日本アイスホッケー連盟の冨田正一会長。企業に依存したチーム運営からの脱却など、対策を研究する委員会を発足させた)

「スポーツ界発展のために、ぜひ成功させたい」
(陸上のクラブチーム、セカンドウィンドACの川越監督)

「もう、企業スポーツが中心となる時代は終わったと思います。これからはプロ化と地域密着しかありません。1社が1チームを持つのではなく、地域の複数の企業が支え合うといったものに変えていかなければ。同じ理念があるのであれば、他の競技も一緒になって盛り上げていきたいと思っています」
(bjリーグ 河内敏光コミッショナー)


2009年という年は、後にスポーツ界における大転換の年として記憶されるのではないか? 希望的観測に過ぎるかも知れませんが、そうなって欲しいと思います。バレーボールにも、危険水域に足を踏み込んでいる親企業がいくつかあります。全体移籍などという幸運はもうないでしょう。冒頭に取り上げた日産は、事前に何の説明もなく、突然休部を通告されたそうです。バレーで同じことが起きない保証はどこにもありません。危機感は足りているでしょうか?
ラベル:企業スポーツ
posted by 千酔亭 at 19:12| Comment(11) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめてコメントさせていただくのかな???
年中見させていただいてるので、よくわかってません(すみません
一(いち)スポーツファンです
いちようバレーボールに基本特化はしてますが

日本の企業スポーツスタイルって何年か前から、プロスポーツと企業スポーツのはざまに立っているように感じられます
企業スポーツからプロスポーツに転換するにあたって、そのチームの所属する選手がする事というのは変わってくると思うのですが、それが企業としてもチームとしてもついていけてない
Vリーグのチームでも今は仕事もさせてるチームやバレーだけしているチームそれぞれですが、バレーだけしているチームはやはり社会貢献的な事が必要になってくるのではと感じます
それはバレーだと地域の小学校や中学校、ママさんバレーチームでもいいと思いますが、無料でコーチをするとか
あと、企業側としてももう少しスポーツチームを利用しないと
Vリーグの会場に行って思うのは、企業宣伝の少なさです
チーム本体よりもっと電化製品の企業はパンフレットを置くとか配るとかしてもいいのでは
ユニフォームに主力商品を印刷しているチームもとても少ないと思います
ただ業績が悪くなったからって、廃部で済まされては応援してる立場としても充分裏切られた気分になるのは当たり前です
やはり2企業で支えるとかも必要だと思いますし、もう少しスポーツのある意味とかも国も企業もそして私たちも考える時期なのかなと感じています
ただ廃部で済まされては、それを支えている人全てを裏切って一層その企業の物を買わなくなる悪循環なのではと感じてなりません
そしてスポーツを見なくなるという悪循環
見てる側としてはそれはやっぱり避けて欲しいですよね
見てる側だけではないかもしれませんが

長文乱文大変失礼いたしました
最近、ものすごく感じていることを書かれていたので思わずコメントしていまいました


Posted by にゃん at 2009年02月12日 21:45
こんにちは。
久し振りに書き込みしに来たのですが、
とても残念なニュースです。
バンブーの廃部が正式発表されました。
足立さんに記録を更新し続けてもらいたい!
40才まで現役を続けてもらいたいと思ったのは、
恐らく私だけではないはずです。
5月までになるべくたくさん見ないといけません。
Posted by 吉原さんのファンサイト管理人 at 2009年02月13日 16:20
武富士バンブーきましたね。
変化が起きはじめていただけに、いきなりタイムリミットを突きつけられた事が残念です。

取り急ぎエントリーをぶち上げましたが、相変わらずうちはトラバ入らないようですので、リンクなんぞを。
http://spora.jp/volley-777/archive/359/0

千酔亭さんのほうからはトラバ入りますよね。
ぶち込んでください。

こんな時こそ表ブログの連帯強化を!
Posted by kaz10000 at 2009年02月13日 17:03
> にゃんさん
bjリーグのやっていることが、Vリーグにとっても理想であると私は考えています。なのでそのことを書くつもりだったのですが、その前に重大ニュースが入ってきてしまいました…。

端的に言ってしまうなら、Vリーグにとって集客は重要ではないのです。バレー教室はやっても、それは会社のCSRのため。宣伝の場とは考えていないから、そのためのものもほとんどない。福利厚生費でやってることだから、チケット収入なんていらない。それがアマチュアリーグby企業スポーツの現実だと思います。

継続的なチケット収入を必要とするクラブチームによるプロリーグは、集客に必死です。bjリーグは発足から数年で、Vリーグの入場人員を上回りました。広告媒体として有効な場所になってきつつあります。


> 吉原さんのファンサイト管理人さん
お久しぶりです。
私は5月で終わらせるつもりはありません。
そのためにできることは何でもやろうと思ってます。


> kazさん
トラバ打ったんですが、入ってます?
何かこちらでは「不明」って表示されたんですが…。

リンクは別な形でいろいろ考えてます。
とにかくいろいろやります。
Posted by 千酔亭 at 2009年02月14日 01:04
以前に失礼したことのあるコマユと申します。
ショック過ぎて書き込まずに入られなくなってしまいました。
これから選手達はどうなってしまうんでしょうか・・

頭の悪いブログですが、
勝手ながら記事にリンクを張らせて頂きましたのでご報告させて頂きます。
Posted by コマユ at 2009年02月14日 01:17
トラバしっかりと入っています。

今の状況はバンブーがエースで最終セット劣勢の場面。
バンブーには強気で打ちまくってもらって我々ファンが全力でフォローです。

フォロー間の連携も重要。
拾って繋いでカウンターアタックです。
Posted by kaz10000 at 2009年02月14日 01:21
> コマユさん
コメントありがとうございます。ちゃんと覚えてますよ。
こちらからもトラバしたんですが届いてますかね?

バンブーをどうしたいのか、とにかくまずは永田部長の
言葉を待ちたいと思います。受け入れ先企業が現れるのを待つ…
何て言ったら、5月で廃部→バラバラに移籍or引退でしょう。
そんな僥倖はもうありません。自らの意思で生き残りを
かけようというなら、とにかく全力で応援します。

廃部はまだあると思います。だからこそ、バンブーは成功例に
ならなきゃいけない。


> kazさん
同じ気持ちです。
幸運を待つのではなく、突破を図って欲しい。
永田部長の力強い決意表明を聞きたい。
Posted by 千酔亭 at 2009年02月14日 01:38
こんばんは。

明るい話題からいきましょう。本日は快勝、おめでとうございます。

http://www.plus-blog.sportsnavi.com/tm1051004/article/1323など、いくつかの関連記事を書きました。
業績悪化から、あってもおかしくはないと正直なところ思っていましたが急でしたね。残念です。

が、バンブーが生き残る(形が変われど)ように祈るしかありませんし、そういう成功例になれるものだと信じています。
選手、関係者の方々は本当に辛い思いをされていると思いますが、ここで大逆転4強なんてやってくれたら最高だと思います。

旧オークスのブログを拝見しましたが、ああなってもらいたいです。
世の中が暗いからこそ、スポーツで明るい社会になればいいなぁと思う今日この頃です。
Posted by 古都の侍 at 2009年02月14日 20:44
> 古都の侍さん
土日とも越谷に応援に行ってきましたが、選手たちはいつもと変わりませんでした。
快勝した土曜の日立佐和戦はもちろん、日曜のNEC戦も負けた気が全くしません。
改めて強調しますが、石川友紀は本当に素晴らしいセンタープレーヤーになりました。

試合が終わった後、観戦仲間と日付が変わるまでいろいろとアイデア出し合いました。
4強は正直あきらめてますが(笑)、チームは絶対に残すという意気込みです。
Posted by 千酔亭 at 2009年02月16日 22:51
こんばんは。

大至急、土曜か日曜か関東圏なので越谷に行きたかったのですが、時間の折り合いがつかずに断念してしまいました。
が、3月の2週目岐阜か最終戦秋田へ行ければ・・・と画策しております。

思えば、昨年リーグの開幕戦(vs久光戦)で「こんなに打つの?」的に今までとは打って変わってセンターの打数が多くなったのが武富士で、石川は原のお陰で相当成長したのではないかと思います(ただ、あの開幕戦なんてまだまだ打数は序の口で、あれから更に増えていきましたね)。
あのシーズンは確か、武富士戦の生観戦が所沢のJT戦だけだったと思いますが、あの試合はベストゲームでしたよね。

話が逸れてしまいました。
「変わろう!」としている時期に廃部になってしまった事は残念ですが、スポーツ埼玉コミュニティとでも言いましょうか、そういう横のつながりが芽生えていたので、そういう地元連携的なもので生き残る策があればなぁ・・・と思うわけです。私のブログのコメントにあったのですが、「客をシェアする」という発想ですね。野球では西武、サッカーだったら大宮と浦和、他にもたくさんのスポーツがありますが、そういう中での連携がもっと深くあればいいのかもしれないと、コメントを読みつつ思いました(ちょっと話は違いますが、去年のV男子の町田大会に、“セパタクロー日本代表”の方々がみえて、デモンストレーションをして「観に来てくださいね〜」と宣伝していました。小さいことかもしれませんが、そういうつながりって大事かもしれないと今になって強く思います)。

『ハチドリの一滴』かもしれませんが、バレーファンの思いで何かがいい方向へ変わればいいと強く思います。
Posted by 古都の侍 at 2009年02月16日 23:46
> 古都の侍さん
レスを忘れていました。申し訳ございません。

前々回のリーグでは、フルセットの試合なのに内藤ですら打数が一桁なんてこともありました。エステスの打数ばかり多くて、応援しつつも「つまんねーバレー」だと思ってました。やはりセンターとサイドは、互いがしっかり機能してこそ面白いバレーになります。今日見てきたPFUはまたちょっと違うんですけどね(笑)。

連携も確かに大事なんですが、それはあくまで副次的なこと。本来的に大事な「リーグの価値」、「チームの価値」を高める意識が足りないのです。競技の面白さや、チームの魅力を伝えられていない。プロリーグのチームとは、集客に対する「必死さ」が全然違います。

親会社の状況から、遅かれ早かれこうなることはわかっていたのに、何も手を打ってこなかったのか? と非難したくもなります。その後の状況も何も伝わってきません。ホームページで堂々と「スポンサー求む!」ってやりゃいいのに。

すみません、愚痴っぽくなってきたので、この辺でやめときます。
Posted by 千酔亭 at 2009年02月22日 23:04
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