2008年12月23日

数字で1レグを振り返る

皇后杯は車体の優勝というまさかの結果でした。もともと個々の決定力は高いものがあるのだし、噛み合えばこのくらいはやれるってことでしょう。ただ、これが今後のリーグに反映するかは別です。試合後のインタビューで葛和監督が、「チーム力で勝った」というようなことを言っていましたが、私の見方は全く逆です。「個の力で勝った」ようにしか見えませんでした。サーブの威力とレナタ、都築の決定力。ブロックはリーグ開幕当初に比べればマシになりましたが、それでも良いとまでは言えません。センターの存在感が薄いのも相変わらず。優勝と言う結果に、チームとしての問題が隠れてしまった印象です。「組織力」を感じることはありませんでしたし、要するに今大会の好結果は、選手個々の良い波が同時期に集まった結果。一言でいうと「ハマった」んだと思います。今のような戦い方で3レグまで勢いがもつでしょうか?

果たして私の見方が正しいのか、間違っているのか。年明け1月10日から再開のリーグを待つとしましょう。皇后杯の話は以上。ここからは表題の通り、1レグを振り返っていきます。まずは順位のおさらいから。

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前評判が高かったのはデンソーと久光でしたが、その通りに抜け出しているのはデンソー。逆に怪我人続出で低迷しているのが久光。岡山と東レが続き、その後の3チームが団子状態。佐和の最下位は予想通りですかね…。今回詳細に振り返る切り口として、センターをどれだけ使えているかということに焦点を当てたいと思います。まずはこちらをご覧下さい。

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横に長いのでクリックで拡大してご覧下さい。左端の並び順はサーブレシーブ成功率。世間的に(というかテレビ的に)、センターをどれだけ使えるか=Aキャッチがどれだけ返るか、という括りで語られていますから、ここを出発点にします。トップは同率で久光とデンソー。車体3位はやや予想外でした。パイオニアこの順位は仕方ないでしょう。佐和はかつての堅さはどこへやら…。選手個々の数字は、あくまでセンターのポジションに入ったときの数字のみを抜き出しています。例えば岡山の野村はライトに入ることの方が多いですが、その場合はカウントしていません。

表の右端にセンター占有率という項目があります。ここが私の重視しているところ。全体の打数(若しくは得点数)に占める、センターの割合です。サーブレシーブ成功率とリンクさせてみると、これがなかなか面白いのです。多少なりとも見やすくまとめたものがありますので、次はこちらをどうぞ。

08_1stLeg.JPG

純国産メンバーで戦う2チームが上位に来たのは、ある意味当然なんだろうと思います。高さとパワーで圧倒する大砲がいない分、センターが機能しないことにはサイドも決まらない。サーブレシーブ成功率は高いとはいえないですが、それでも岡山も武富士も去年よりはるかにいい数字です。岡山がスタメンに米村を、武富士が服部を入れているのは守備重視の証。何よりも返球が多少乱れても自在にトスを操れるセッターと、少しくらいトスが乱れても何とかできるセンターがいる。数字がそのことを証明しています。爆発的な強さはないけど、大崩れもしない。長丁場のリーグを戦い抜くには大事なことだと思います。

久光の数字はさすがというか、やはり良いですね。決定率が例年より低いですが、先野・大村を共に怪我で欠き、いかにも調整途上という感じのする山本と、2年目の平井で戦ってきたのですから、これから上がってくるでしょう。ただ、ここ最近は平井を外して先野を入れています。果たしてこれが吉と出るのか凶と出るのか。平井を外したのが、私にはちょっと解せません。ブロックが良くなかったということでしょうか? 橋本の怪我で三上が先発のここ数試合ですが、見劣ることは特にないように思えます。

パイオニアは占有率はいいのですが、決定率が低い。栗原をサーブレシーブの中心に置くという「大冒険」をしている状況下で、内田はよくセンターを使っていると思います。決定率が物足りないのは庄司の方。何が問題なのかまでは私にはわかりませんが、34%はセンターとしてはいかにももの足りません。もうちょっと奮起を促したいところ。内田が今日の試合で怪我をしたようですし、年齢的にスタミナ面も不安視されるところですから、南にかかる比重が大きくなってくるでしょう。そういう面からも、やや不安が先に立ちます。

NECの数字も、サーブレシーブ成功率を考えればなかなかだと思います。松崎がもっと低くなるんじゃないかと思っていました。去年は秋山と杉山で合わせる時間が少なく、ずいぶん苦労していましたが、今年はそこもマシになった印象です。サーブレシーブ成功率の方はメンバー的にさほど上がってこないと思いますが、そこを秋山がどう切り回すのか。テンパって一本調子になることがあるものの、それでも尚センターにトスを上げられるかが鍵になると思います。

デンソーは少ないでしょう。横山は本当にレシーブがきれいに返った時しか、センターにトスを上げない印象があります。だからこそ決定率は全チーム中で最も高いんですが、でももう少し強引さがあっても良いと思うのです。それによってサイドへの負担が軽くなるはずだし、特に細田の決定率(30.1%)がさっぱり上がってこない現状を、何とかするための突破口にできるんじゃないでしょうか。これだけAキャッチが入っているんですから、セッターの工夫の余地は多いにあります。…関係ないけど、ロンドンに速攻やブロードを打たせてみて欲しいな〜と常々思っています。

東レも少ないですね。レフトレフトの印象。少ない分決定率が高めなのはデンソーと一緒ですが、でも高いのは片方だけ。「ブロード馬鹿」こと西脇の毎年の決定率の高さは、本当に凄いと思います。あれだけワンパターンでも50%前後をキープし続けていているのは、もう職人芸の域ですね。ただし荒木が抜けた穴は、新人2人で埋められるものではありません。中道もあまり冒険しないタイプのセッターですから、このくらいでずっと行くんでしょう。リーグ後半のことを考えれば、もう少し積極的でもいいんじゃないかと思うんですが…。

佐和は悪い意味で妥当な数字です。サーブレシーブ返らず、センター使えず。加えて黒羽のセッターとしてのスキルもちょっと…という感じ。嶋田はラリー中に突っ立ったまま打ちに行かないこともあるし、今の成績は必然でしょう。センターから突破口を…という切り口ではこれ以上何も語れません。江畑の戦列復帰こそが希望の光です。

JTは相変わらず。寺廻監督は前回リーグの反省として、「相手にとっては谷口とケニーさえマークしておけばいいという状態で、攻撃面での変化が足りなかった」というようなことを言っていましたが、今年も同様です。人が変わっただけ。去年の場合、坂下が急造センターとして入らざるを得ないという、同情すべき点がありましたが、今年はそれすらありません。さらに悪いのは打数ベースより得点ベースで占有率が下がること。普通ここは上がるもんですよ。チーム全体の決定率をセンターが下回ってしまうのは、ちょっと寂しいものがあります。上昇の余地はいかほどか…。

最後はトヨタ車体。今回のセンター中心に語るという意図から言うと、車体の数字はダメダメです。しかしチーム全体のスパイク決定率はリーグトップ。サーブレシーブ成功率は3位。しかしセンター使えず(使わず)、1レグの成績は2勝7敗。ところが皇后杯優勝。もう何だかわかりません。ここはセンターうんぬんというチームではないし、迷走していた葛和監督も、今後は皇后杯のメンバーで固定するでしょう。あとの私の見方は最初に書いたとおりです。1レグよりは良くなるでしょうけど、終盤までもつとは思えません。


先週、深谷へ生観戦に行ったんですが、バンブーつるじとシーガルズ岡野のトス回しを見て、心底面白ぇな〜と思いましたね。全日本の試合で「縦のB」なんて出たら、レアなお宝を発見したみたいな大騒ぎですが、この2人にとっては本当に普通です。加えてアタッカーもトリッキーなのがシーガルズ(森と山口)。バンブーの2人は正統派の(?)速攻打ちです。ブロードは少ない。どちらも人気のないチームですが、本当に面白いバレーをするので、ぜひもっと注目していただきたいものだな〜と思います。

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posted by 千酔亭 at 20:43| Comment(3) | TrackBack(0) |  → Vリーグ関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お、来ましたね。
センター攻撃発生のためのサーブレシーブ依存率の集計。
っていうか、得点ベースでも集計されている!

シーガルズはキャッチ65%以上ならセンター攻撃占有率が100%じゃなきゃ嫌だ。
でも村田は一試合に50本打たなきゃ嫌だ。
…などなど、いろいろ思いながら見ています。

今シーズンのNECはキャッチ依存率が低くなっているという印象はデータでも出てきましたね。
「まずはキャッチから!」というNECファンがよく叫んでいる応援はやはり考え直す必要がありそうです。

この前岡野さんが二段トスを打ったところ、写真撮ってませんか?
Posted by kaz10000 at 2008年12月24日 16:35
こんばんは。

これだけの集計をするのに相当な時間がかかったと思います。非常に読み応えがあり、尚且つ解りやすく説得力もありました。お疲れ様です。

JTは重症ですね。セッターとセンターの移行期が同時になった事はほんの少し同情しますが、宝来にしても久保にしてももっと決めないとダメでしょ。試合を観ていても「空気」になってますね。セッターの方に原因もあると思いますが、まずはそれなりのキャリアのあるセンターがねぇ・・・竹下が戻ったところで、劇的に改善されるとも思えません。

車体は昨日、3日前と試合を生で観てきましたが、開幕戦よりかはセンターがマシになっていると思います。今、前田が入っているところに及川がそのうち入ると思いますから、そうなれば改善されるのではないかと。

久光はチーム全体として一本の筋が通ってないフニャフニャな感じが少しします。多分、狩野美雪がいなかったり、兵動が不調だったりするということがその理由でしょう。
センターも山本はあんなもんって感じですし、平井は頑張ってるけどもうちょっと欲しいなぁと観ますね。

デンソーの横山は忘れた頃にラリー中の速攻縦Bなんかをやるような気もしますが、やはり東レの中道と合わせて「堅実派」のセッターでしょう。中道の場合は荒木がいなくなって、更に「堅実派」に寄ったように思います。

武富士を観ていると、センターの占有率が1/3くらいあるような印象を持ちますね。それだけインパクトのある使い方をしているということでしょう。素晴らしい。


Posted by 古都の侍 at 2008年12月24日 20:03
> kazさん
スパイクによる得点の4割をセンターが占めるって、考えてみればなかなか凄いことです。
センター100%と村田50本は両立しませんが(笑)、他の人にも打たせてあげてください。

NECは去年、2レグの途中くらいから大貫が上げてましたよね。Aキャッチ依存率が高いのは、
大貫であって秋山ではないということでしょう。秋山は面白いセッターになると思います。

>>この前岡野さんが二段トスを打ったところ、写真撮ってませんか?

古藤じゃあるまいし、セッターが打つところは狙っていません(^^;)。


> 古都の侍さん
EXCELでフォームを作って、あとは数字を入れるだけですから、それほど手間でもないんですよ。

JTはここ何年かずっとこんな数字です。2シーズン前は江藤&宝来の対角でしたが、
その頃から変わっていないのです。河村に問題があるのではなく、竹下も同じでした。
いっそのこと監督の指示か? とも思ったのですが、でも寺廻監督のインタビューを読むと、
攻撃の偏りを問題視している…。

決定力の高いサイドがいると、セッターはどうしてもそちらに頼ってしまうものなんでしょう。
実際、ほんの2シーズン前のバンブーもそうでした。当時のセッターは井村でしたが、
とにかくエステスと吉澤頼みで、フルセットの試合なのに内藤の打数が1桁なんていう
信じ難い試合もありました。忘れもしません、川越でのNEC戦。エステスがブチ切れました…。

http://www.vleague.or.jp/data/result/2006/15592_2.pdf (注:PDF)

バンブーはセッターの個性でチームの色がガラリと変わりました(もちろんそれだけが
理由ではありませんが)。私は今の方が断然好きです。つるじは凄いヤツだと思います。
Posted by 千酔亭 at 2008年12月28日 10:46
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